フォード・システムの光と影 3

 ある経営誌で気になる一文を目にしました。

 <アメリカ経営学は,人間を科学的に管理し,仕事を単純化,標準化,専門化させることにより,同じ製品を大量に造ることに成功し,世の中を豊かにし,消費は美徳と教え,大量消費する経済至上主義社会を作り上げた。
 その結果,工場で働くことは,管理者によって与えられた作業手順にしたがって,同じ動作をくりかえし,人間から思考と言葉を奪い,8時間を無口で働くことを強要した。・・・ ,との記述です。


 上述の<人間を科学的に管理>とは,テーラーの科学的管理法を,<仕事を単純化,標準化,専門化させた>とは,フォード・システムを指しているのでしょう。
 
  フォード・システムは,科学的管理の原理を徹底的に自動車の生産において適用するという形で,大量生産システムの基礎を築き上げることを可能とした。 フォード・システムを,おさらいしてみます。

関連ブログ:フォード・システムの光と影 1

http://r-kobayashi.at.webry.info/200911/article_5.html


◇フォード・システムの光と影 
 フォード・システムでは,作業工程を細かく分割し,個々の作業者の作業領域を細分化・限定しています。つまり,作業者は,標準(マニュアル)にしたがって,単純作業を行うこととなります。

 これにより,分業体制が確立し,作業は単純化し,作業者個々人の裁量は許されないこととなりました。

 こうした,フォード生産方式--作業の単純化--は,チャップリンの映画『モダン・タイムス』で風刺され,「非人間的なしくみ」として,問題視される所となりました。
 
        ◇          ◇

  フォードシステムにより,生産の効率化は実現しましたが,労働者のやる気の低下という新たな問題が生じました。

 流れ作業に上る大量生産方式導入後,それまで月40%だった離職率が60%台へ上昇し,在職者の労働意欲の低下といった問題が生じました。退職の最大の理由は,①流れ作業の単調さと,②労働者への生産割当が増加し続けたことにあります。 

 そこで,同社は離職対策として,当時標準的賃金であったた日額2ドル50セントを5ドルに割り増しするという,対策をとりました。

 こうした経験から,ヘンリー・フォードは,後に<利潤を追求せず労働者を高賃金で報いるべきである>という経営理念を掲げるようになります。

 単純労働の苦痛を高賃金で代償するというフォードの考え方は,同じような悩みを抱えた大量生産方式を導入したメーカーでも取り入れられていくこととなりました。

 大量生産方式の普及は,労働者階級の可処分分所得を増大させ,商品をより多く売ることで価格をさげ,それがまた消費量をのばすという,アメリカ型の大量生産・大量消費社会へともつながるものでもありました。

  昨年末のリーマンショックに始まった経済危機騒動の源泉は,「フォード・システム」としたら,言い過ぎでしょうか。
 
 







マニュアルのつくり方・生かし方
PHP研究所
小林 隆一

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