「消えた年金記録」からの教訓 - ルールの不備

 社会保険庁の後継組織で非公務員型の特殊法人「日本年金機構」が4日,始動した。発足式で長妻昭厚生労働相は,「社会保険庁は50年にわたり年金の記録管理を怠り,国民の信頼は地に落ちた。新しい組織では失敗は許されない。国民の老後を支えるのは自分たちだという気概を持ってほしい」と訓示している。

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 「消えた年金記録」の失態の事例は,マニュアルづくりとその運用に当たっても 参考となる教訓を残した。

 「年金の記録管理を怠り」の一つに,年金台帳の入力ミスがあげられる。どんなに完璧な事務管理マニュアルをつくったとしても,その前提となる処理方法や処理手順にといったルール(前提条件)に欠陥があったとしたら,マニュアルは有効に機能しない
 
決めごとの欠陥-変換システムの不備
 
▼原因
 
 年金記録は1957年までは手書き台帳で処理されていた。なお,それと並行してパンチカード方式でマスターデータを作成していた。1962年からはパンチカード方式による作成データの磁気テープへの再変換を開始した。

 その際,漢字1字に対して4桁の数字(例えば「崎」は「3451」)といった「4桁数字符号化方式」で,データ変換を行った。この4桁数字符号化方式により,1979年までに約54万件の氏名の数字符号化を完了している。
 
問題は,この先である

 1795年から,マスタテープから磁気デスクに順次移し替えられた。その際、従来の「4桁数字符号化方式」から,「カタカナ管理方式」に変更した。 

 この「カタカナ管理」方式では,ある漢字の読み方を一つに決めて,それをカタカナとして記録するというものである。

 例えば,島崎幸子は,「島」は「シマ」,「崎」は「サキ」(ザキと濁らない)という読みに固定させる。その結果,島崎はすべて「シママサキ」に統一された。「幸」は「サチ」で固定されることから,「幸子」は「サチコ」だろうが「ユキコ」「だろうが関係なく,一律にすべて「サチコ」に変換された。

 これは,「カタカナによる文字コード」化である。変換後の「シマサキさちこ」は,「氏名の文字」から変換された「コード」となる。

  この方式が理にかなったものできちんと機能していれば,なんら問題はなかった。現実には5400万件の不具合が発生した。

 当然である。「裕」という字に番号(数値)を振る文字コードであれば,番号を文字字形に変換することができる。

 だが,「裕」に「ユウ」というコードを振ってしまったら,その逆ができない。つまり,「ユウ」というコードを振られた漢字は,他にも「友」「遊」「有」「勇」「雄」と,たくさんあるから,逆変換は不可能となる。

 この「新方式」を採用しても,従来使っていた「4桁数字文字コード」データをバックアップデータとして残しておけば,もとに戻すことは可能であった。

 ところが,1985年9月に社会保険庁が課長名で都道府県の年金担当者に「入力済みの原簿(手書き年金台帳)は,すべて破棄せよ」と通達を出した。

 この結果,破棄されたものに関しては,原簿に戻っての照合作業を著しく困難とした。
 

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