食品スーパーの作業改善-業務の見直しで品出し時間を三割削減

食品スーパーの作業改善  業務の見直しで品出し時間を三割削減
               出典:「激流」 2017年4月号 p58

 人手不足対策としては,機械化や高齢者・女性・外国人の活用などがあげられるが,その全体として,現状の組織の生産性を上げることが欠かせない。
 慢性的な人手不足に対応するためには,人を増やすことだけにとらわれず,これまで当然と思っていた仕事の進め方を見直すことも重要である。それを現場に任せるのではなく,会社の方針として取り組む必要があると。

 食品スーパーのマイヤ http://www.maiya.co.jp/  (岩手県大船渡市) ,マルイ http://www.maruilife.co.jp/ (岡山県津山市) は慢性的な人手不足に悩んできたが,生産性の高さで群を抜く自動車メーカー系のコンサルティング会社の指導を受け,業務を改善,生産性を向上させた。

 両社を指導したコンサルティング会社が用いた手法の一つが5S。これは,「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」を徹底することにより作業を標準化・効率化するという考え方。ここでいう「整理」「整頓」とは単に片付けるのではなく,「整理」は保管の基準を決めて不要なものを処分することで,「整頓」は置き場所、置いてあるもの,数量を決めて明示して保管することを意味する。

 マルイでは,この考え方に基づきそれまでばらばらに保管していたトレーの保管方法をルール化した結果、トレー発注にかかる作業時間が半分に減少した。一方,マイヤでも,バックヤードの在庫商品の保管方法を店舗の商品レイアウトに合わせ、品出しの動線や使用頻度を考慮して見直した結果,品出し時の作業が効率化し,作業時の歩行数も削減できたという。

 作業のムダを無くすためには,ECRSという手法を活用した。E(作業を無くす)C (二つの作業を同時に行う)、R (作業の順番を入れ替える)、S (道具を使って簡素化する) という視点で従来の作業を見直し,より効率的な方法に変える。その際、どの作業でムダが生じているかを把握する必要があるが、これには従業員へのアンケートやインタビューのほか、ストップウォッチでの時間計測や映像の撮影など、客観的な情報収集も用いられる。

 マイヤでは各部門の作業のピーク時をアンケート調査した結果,部門ごとにピーク時がずれることが判明。ピークを過ぎた部門が忙しい部門の業務を手伝う部門間応援体制を確立することで,忙しさのばらつきをなくした。他部門の支援にあたっては、支援する業務を明確にして作業の内容が誰にでもわかるよう作業ガイドも作成。一連の業務の効率化や前出のバックヤードの改善の結果,同社では総労働時間を一日当たり四時間削減することができたという。さらに、部門横断的にみんなで陳列作業をすることで、売り場全体が
整理されるという副次的な効果も生まれた。
 一方、マルイでは、マネジャーが口頭で出していた指示を作業指示書などの文書に替えることで伝達漏れや指示待ちが無くなり、開店時の品出し時間が三割近く減った。

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>>>ECRSの原則(改善の4原則)チェックリスト
   出典:http://seisan.funer.net/modules/pico/index.php?content_id=117

改善を行う場合の基本として「排除(Eliminate)・統合(Combine)・交換(Rearrange)・簡素化(Simplify)」の4つの考え方、この考え方の4つの頭文字からECRSと呼ばれています。この考え方はE→C→R→Sの順番に検討をしていきます。

作業改善などで、
・工程、作業、動作をなくすことができないか?(排除:Eliminate)、
・一緒にできないか?(統合:Combine)
・順序を変更できないか?(交換:Rearrange)
・単純化できないか?(簡素化:Simplify)
という観点から見直していくことを指します。「5W1Hのチェックリスト」などと同様に作業全体を見直し、問題点を見つけ出す際の手掛かりとします。これを「ECRSの原則(改善の4原則)」といいます。








内容紹介

ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正氏、絶賛
「この物語は、生産方式の話ではない。
この会社は本気だ。
ひょっとしたら、今日の成功は明日の失敗になる。
昨日と同じことをやっていいのか。進化し続ける「現場」――。
それが、トヨタの本質だ。」

なぜ、トヨタが強いのか。
トヨタ自動車の製造現場を支える、「ジャスト・イン・タイム」「かんばん方式」「カイゼン」。
同社のモノ作りの強さを語るうえで、これらの言葉を切り離すことは、決してできない。
だが、これらの"手法論"ばかりに目を奪われていては、強さの「本質」を見誤る。
時代や競争環境、工場のある国やそこで働く人々の国籍が変わっても、
決してトヨタの強さはぶれることがない。
「ジャスト・イン・タイム」や「カイゼン」が世界中で通用しているのは、
「自分で考え、動く」人間をトヨタが育ててきたからだ。
自分で課題を見つけ、考え、それを乗り越え、今日を否定し、より質の高いモノ作りを目指して、
たゆまず進化し続ける「現場」。こうした人々が、トヨタの強さの根幹をなしている。
そして進化する現場を育てる力こそ、同社が長い歴史の中で紡ぎ出した、最強のシステムなのである。

「最初から答えを与えてはいかん。考えさせる。考える作業者を作るんだ」(豊田英二)
「悪いのは作業者じゃない。働き方を教えていない管理者の方だ」(大野耐一)
「トヨタ生産方式とは、考える人間を作るシステムです」(米ケンタッキー工場幹部)
トヨタの現場は、ドリームチームではない。無名の選手が、それぞれのポジションで素早く動き、的確にパスを重ねる。あくまでも連携に優れたチームだ。そのためには日々の鍛錬が必要だ。



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